オペラシ・キャッサバとは?
- オペラシ・キャッサバ プロジェクトは、参加者がキャッサバの作物にまつわるストーリーを投稿する参加型のプロジェクトです。
- このプロジェクトでは、起源や生態等はほとんど知られていないが、たくさんの個人的な記憶や情報を持つ象徴的な食物/植物を通して文化的アイデンティティーを検証します。
- キャッサバにまつわる個人的なストーリーを人々から集め、それらを共有することで、歴史の変遷の中で大きく変容してきたキャッサバの社会的および文化的重要性について検証し、この象徴的な食物を、過去、現在、未来を考える手段としてどのように使うことができるかを考察する試みです。
- 本プロジェクトの関心は、文化的な相違を浮き彫りにすることではなく、文化的アイデンティティーを尊重し合いながら共存することです。
なぜキャッサバなのか?
- マレー語では“タピオカ”または”ウビカユ”とよばれるこの食べ物は、ごく一般的な、あまり注目されることのない植物ですが、第2次世界大戦中、マレーシアが日本軍に占領されていた時代、主要な炭水化物としての役割を担っていたという歴史を持っています。その起源は南米にあり、東南アジアにはポルトガルおよびスペインの商人によってもたらされました。その後、異国から来たこの作物はすっかりこの地に馴染み、地元の食文化にも取り込まれました。キャッサバは文化的背景を色濃く持つ食物なのです。
- マレーシアの食文化に定着したキャッサバの歴史は、マレーシアという国を形成する、異なる民族の融合の象徴に例えることができるでしょう。キャッサバの起源や生態などは一般的にあまり知られていませんが、マレーシアの歴史の変遷の中で様々に変容してきたこの植物にまつわる個人的な記憶は無数に存在します。垂直に地中へと伸びる塊根は、栄養と水分を吸収しながらこの植物を支えています。この特徴を、マレーシアの文化的アイデンティティーの象徴と重ね、キャッサバやそれにまつわる人々の個人的な物語を蒐集し、共有することで、その社会的・文化的な重要性を検証し、これを通して、過去・現在・未来を再考しています。マレーシアは、多民族、多文化社会です。マレー人、中国人、インド人、バジャウ人、カダザン人、イバン人、先住民といった多数の民族グループが、マレーシアの人口を形成しています。これらの多民族グループは、それぞれの様々な過去を持ちながら、異文化を受け入れ合い、美しい文化的多様性を形成しています。様々なキャッサバの調理方法は、多民族社会の形成を反映しています。また、食べ物はマレーシアの人々を団結させる共通の要素でもあります。
- オペラシ・キャッサバは、クラウドソーシングを通して、家庭料理のレシピ、個人の経験や民間療法としての使用方法の情報など、キャッサバにまつわる草の根レベルでのストーリーを蒐集しています。これがマレーシアの多様な文化の共存を促すことを目的として、キャッサバの社会的記憶をインターネット上にアーカイブしています。